ヒトリダチ

2013年 8月11日(日) 晴れ

材料からつくる、中津箒。

今日は箒について。
高性能な掃除機もいいけど、ちゃんとした日本の箒が欲しいと思ったので調べてみたら、素晴らしい箒を神奈川県でつくっている人たちが居ました。

神奈川県愛甲郡愛川町中津。
丹沢山の麓に宮ヶ瀬湖という、開放感のある気持ちいい湖があります。そこから相模川に繋がる、綺麗で穏やかな流れの中津川沿いに、中津箒の制作や展示、販売を行っている蔵(お店・ギャラリー)がありました。

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明治の頃、中津では一大産業として沢山の箒がつくられ、多くの職人も居たそうですが、 近代化が進み生活様式などの変化に伴い、箒はだんだんつくられなくなりました。(何だか杉と似ている。)

職人がつくる箒は軽くて、丈夫で、形も美しい。そんな箒を、このまま無くしてしまうのはもったいないと思った代表の柳川直子さんを中心に、現在ベテランや若手の職人さん5人ほどで箒をつくりながら、展示やワークショップなどのイベントを通して、全国に中津箒を広めようと活動されています。

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ここは蔵の一階。女性の職人さんがひとり、箒づくりをしながら蔵の留守番をしていて、中津箒についていろいろ教えていただきました。この方は武蔵野美術大学を卒業されたそうです。
柳川さんが中津箒の復興を始める際、武蔵美の大学院で勉強をしていたこともあり、若手の職人さんは武蔵美出身の方が多いとか。

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箒には用途によって種類が幾つかあるようですが、良くみると加工の仕方というか、作り込みの方法も職人さんによって違いがありました。時代によるかたちの流行などもあったようで、箒にもその時のトレンドがあったことがとても面白いです。
箒をまとめているヒモは針金だったり草木染めなどで染めたものだったりして、このヒモの素材や配色で箒の印象が全く変わってきます。ここ中津箒では、かたちや色を選んで自分好みの箒をつくってもらうこともできるようです。

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二階には小さな箒も並べられていましたが、見てくださいこの繊細な仕事。工芸品のような美しいかたち。いつまでも眺めていられそうです。これをつくっているのは、京都で箒職人をしていたベテランの方です。

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今の時期は、材料である「ホウキモロコシ」の収穫期だったようで、蔵の中には束ねた箒のもとが積み上げられていました。

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裏の庭では、収穫したばかりのホウキモロコシが干してありました。
このホウキモロコシ。自分たちの畑で無農薬栽培で育てられています。最近の箒は中国などから材料を取り寄せているのがほとんどですが、国産の適度なしなりと丈夫さを求めて自社栽培に至ったそうで、国産の材料で国内生産は大変希少ということでした。
ちなみに、畳の多い関東地方ではホウキモロコシ、板の間の多い関西方面ではシュロで箒がつくられていて、地域で使う素材が違っていたと聞きました。

箒は、畳から使い始めて、古くなると板の間用、次は土間、玄関、というように箒の劣化にあわせて使われていたようで、現代の工業製品にはない品の良さを感じました。
そんな箒を、材料から育ててつくっている人たちが、自分の住む神奈川県にいることを、ぼくは誇らしく思います。
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by nipponhike | 2013-08-17 14:20 | ■見学